2015/12/27

5%を勝ち取った喜び

仮に彼のことを金太郎さんと呼ぶことにする。

金太郎氏の趣味はわたしと同じで釣りが大好き!
独身で気楽に生きている。
友だちも多く、私生活はとても充実しているようだ。
よく友だちには、マメだね、と言われると聞いたことがある。
わたしもそう思う。

そんな彼が、10月上旬に、胸に違和感を覚える、という話をしてきた。
それまで、彼からそんなことはもちろん聞いたことがないので、ちょっと心配になった。
彼によると、6月に都内の有名病院で人間ドックをしており、そのとき、逆流性食道炎とピロリ菌があるという結果が出ていて、8月に同病院に行き、治療を開始したということだった。

ピロリ菌は無事に駆除成功。続いて、逆流性食道炎の治療に移った。
服薬治療ということで、さほどの苦労はないと笑って言っていたのが印象的だった。

金太郎氏は、おっちょこちょいなところがあり、ときどき服薬を忘れるんだよねと、LINEをしてきた。
わたしは、ちゃんと飲まないと治らないぞーと、微妙に脅していたが、理解していたかどうかはわからない。

そんな時間軸の中で、先ほど書いた「胸の違和感」に通じる。
わたしは、もちろん病院行きを勧めた。彼によると、職場の同僚にも言われたと話している。
人間ドックの病院は、名前を言えば誰もが知っている大きな病院。
逆流性~の治療で毎月1回通院しているので、次の予約が10月中旬にあるからそのときにでも行ってくるということだった。

彼によると、食器を洗っているとき、歯を磨くときといった「負荷」とは言えないようなときにも、やや胸が重ぐるしくなり、ソファーでのんびりしているのが一番楽だと、お昼ご飯を食べたときに言っていた。
わたしはそのとき、その程度の負荷でそんなことになるとは、普通ではないことを感じたが、彼の気持ちを察して口にはしなかった。

10月10日(土)~12日(月・体育の日)は3連休。
その前の週に、わたしは釣りに彼を誘ったが、珍しく断られてしまった。体調が悪いということだった。
体調回復を祈って、LINEでの会話を終わりにした。

異変は10月11日(日曜日)の深夜にやってきた。
前日からのんびり過ごし、今日も本を読むなどしてゆっくり過ごしたということだった。
そして眠りにつこうとした24時ころのこと。
これまでに感じたことのない胸の苦しみが彼を襲った。
彼はそのとき、自分がどうすることが最適かを考えたそうだ。一方では、いつ終わるともわからない胸の苦しみにももがいていた。
この10日余り、体調が悪いことに関係していることは、当事者なので一番よくわかっていた。

幸い、もんどり打つまではなかったようで、ギリギリのところで思考回路は作動していた。
通院していた病院を検索し、電話で事情を説明し、救急車で向かうことにした。
この発作が起きて約10分が経過。最初の苦しみよりやや楽になってきた。
そこで彼は財布と荷物をリュックに詰め込み、救急車の到着を待った。
彼の住むマンションはオートロック。
救急隊が彼の部屋には行くにはちょっと面倒。
自身の発作はかなりよくなったということで、外に出て待ったということだった。

救急車が到着し、症状を説明。
ほどなくして、病院に向け出発。
病院では、胸のレントゲン、動脈からの血液検査、心電図を行い、いずれも大きな異常は見られないということだったという。

心電図による波形(ネットからの拾い物)

そして、診断は、胃酸による逆流性食道炎。
深夜3時ころ帰宅。

朝は普通に目が覚めたということだった。昨日の今日ということで、テレビを見てゆっくり過ごした。
そして夕刻。
また昨夜と同じ発作が彼を襲った。
彼は、病院に電話をした。病院は「来てもいいが、先ほど検査をしているし、同じ内容ではないか。」という返事に、いっしょに納得したそうだ。
わたしでもそうしていたような気がする。

そうこうしているうちに、30分余りが経過。症状はかなりよくなっており、ほぼ何もない状況と同じだったという。

彼は、自分の体の中で起きているこの一連のことが、本当に逆流性食道炎による症状によるものかと疑ったらしいのだが、不幸にして、医学の知識が乏しすぎ、納得のいく結論を自身で導きだすことはできなかったと、後から言っていた。
わたしでも同様だろう。

翌日12日(火曜日)、翌々日13日(水曜日)、その次の日(14日)と普通に出勤した。
13日は、通院の予約をしていたことから、病院に行った。
主治医は11日の出来事をカルテを見ながら、冷静に分析してくれた。
主治医の診断は、救急医と同様で、逆流性~によるもの、ということだった。
彼は、言ってみれば「セカンドオピニオン」を同一の病院で受けた。
2名の医師(救命医は循環器の医師)が同じ診断なら、そういうことなんだろうと、彼は納得したという。

そして、10月15日(木曜日)の夜、親しい友だちと居酒屋で飲んで帰宅。
寝ようとしたところ、11日の症状よりは軽いものの、また似たような症状が襲ってきた。
彼によると、過去2回、30分で治まっているので、今回もそうだろうと思ってたということだった。
しかし、45分経っても1時間経っても、2時間経っても治らない。
前回の苦しさを10とすると、今回は5とか6くらい。朝まで眠れなかったという。

明けて16日(金曜日)。
例の病院に行っても仕方ないと判断。
ネットで内科と循環器科のある地元の病院を検索し、そこに行くことに。

人間ドックの報告書、救急で行ったときの結果を持って向かった。
医師(女性)は、「そういうことであるなら、ホルター心電図(24時間心電図)をやりましょう」と提案したという。
ホルター心電図(ネットからの拾い物)

ということで、その日は休暇。「いま、こんな状況なんだよ」とLINEが届いたのは15時ころだったか。

明けて17日(土曜日)。
昨日の病院に行き、昨日つけた心電図計を外し、医師からは「主人が循環器なので、すぐに見せます。月曜日の仕事のあとにでも来てください。」ということだった。

そして19日。
医師によると、「金太郎さんの波形に異常が見られます。ただ、この程度の異常は、医師によって正常とされる場合もあります。金太郎さんは、今月に入って体調不良があったり、救急車で運ばれたりしていますので、一度、精密検査をお勧めします。わたしが、有名病院の循環器部長先生を知っていますので、そちらで診てもらってください。予約もしておきます。」
という説明をされたという。

その病院は千葉にあり、分院が京橋にある。
そして、先生は週に1回しか京橋に来ないため、予約が取れたのは11月10日だった。
幸い、それまでの間は、特に異変もなく、釣りにも行っている。
金太郎氏は、後日、「よく釣りになんて行ったものだ。一歩間違えば、危なかったのに」、とLINEをしてくれている。

京橋では、心電図とエコーをやったそうだ。
そして、心電図の結果はNG。
心電図計からも異常を示すメッセージ、そして部長先生による波形読みも、もちろんNG。
先生は、「この波形だと、わたしじゃなくても、誰が見てもよくないと診断しますよ」ということだったそうだ。
そして、すぐに、エコーによる検査をするよう指示がされる。

エコー(超音波)検査(ネットからの拾い物)

そして、診察室に戻ってその動画を見ると、素人目にも心臓の左下の動きが弱いことは明らかだったという。

心臓のエコー画像(ネットからの拾い物)

先生は、直ちにカテーテル検査を提案。病院は、希望するところはどこでもいいこと、必要なら紹介もすること、もちろん千葉でもいいことなどを説明。
金太郎氏は、一瞬、通院していた病院が浮かんだということだったが、推測しているとおりの事情で選択せず。
そして、「これも何かの縁」ということで、千葉の病院にすることをお伝えし、予約の手続きにはいったということだった。

カテーテル検査は、11月20日(金曜日)に決定。19日に入院、21日に退院だ。
カテーテルとは、右腕の血管(動脈)から細い管を通し、圧を図ったり、造影をおこなうというもの。

検査の様子(ネットからの拾い物)

 なんだか、すごいことをするものです。


なんだかんだで1時間。無事に終わり、症状が判明。
左冠動脈が心筋梗塞を起こしていたということです。

治療は、ステントと言うものを血管にいれ、中からふくらませて流れていなかった血流を正常にするというもの。
これは、10日後に決まりました。

ステントの挿入(ネットからの拾い物)

11月29日(日曜日)に入院し、30日が本番。2日が退院の予定。
カテーテル検査のときと同じように、右腕の脈のところから挿入だそうです。
うまく入らなかったりなど、状況により右足の付け根からの挿入もあるそう。
結果は、足からも挿入されたそうです。


  


この写真は、彼自身のステントを入れる前と後のもの。説明がなくてもわかりますよね。
明らかに血液の流れが違います。
そして、医師団によると、「よく、この状態で心臓が動いていたものだ。95%の確率で、命を落としているか重大な病気になっていた。」と、説明があったそうです。
さらに医師からは、「人間の体はとても凄くて、金太郎さんの場合、危険を察知し、新たな血管が生えてきているんですよ」との説明に、相当びっくりしたそうです。

彼の心臓の2割はダメージを受けて機能していないそうです。
ただ心配することはなく、3分の2やられると危ないが、この程度なら全く問題ないとのこと。
本当によかったです。
彼の生命力に感服です!

彼は11月30日をもう一つの誕生日にするんだと言っていました。なるほど!
そして、こんなものも買ったそうです。

  



 心臓の模型と、ペンダントトップだそうです。
彼が心臓を大事にする気持ちが伝わってきました。
看護師に相談したら、ぜひって言われて、喜んでもいたようで、彼らしさを感じました(^^)

お見舞いに行った日は、天気も良く、病室からは、こんな景色が見えました。



癒されますよね。自然治癒力が倍増しそうです!


こうして書いてみて、人体の不思議さ、生命の大切さを感じずにはいられません。

この話は、もちろん金太郎氏の了解を得て、内容も確認済です。


拾い物の画像については、お断りもせず掲載しています。申し訳ありません。
事情をご理解の上、ご配慮いただけると幸いです。


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